「長いお別れ」中島京子著の感想(ネタバレあり)映画化を機に小説を…ラストに涙

中島京子の小説「長いお別れ」が映画化!!
という謳い文句に惹かれ、高く積まれた本に手を伸ばしました。

休みの日に、夫と雨宿りで立ち寄った浅草の本屋さんでは、繰り返し「長いお別れ」の映画予告が流れていました。

人の少ない本屋さんに虚しく響く映画予告に、私は釘付けになってしまいました。

繰り返し流れる映画予告を、ひとり繰り返し見ていました。

「長いお別れ」中島京子著の小説が映画化

「長いお別れ」「映画」というと、レイモンド・チャンドラー氏の「The Long Goodbye」を思い浮かべる人が多いようです。

私はあまり詳しくないのですが、
「長いお別れ」
「長いお別れ 映画」
と調べるとがチャンドラー氏が出てきます。

レイモンド・チャンドラー氏の「The Long Goodbye」という楽曲。

 

で、私が今回お話ししたいのは、中島京子さんの小説の方です♪

 

「長いお別れ」(中島京子著)の映画化では、中野量太監督がメガホンをとられました。

 

sayaka
「湯を沸かすほどの熱い愛」の監督です♪ちょうどこの間、この映画を観ました♪

 

中野量太監督は、オリジナル脚本で映画を撮られてきた方なので、原作がある作品は初めて!ということで注目が集まっています。

 

「長いお別れ」の映画のキャストは…

東昇平(父)ー山崎努さん
東曜子(母)ー松原智恵子さん
今村麻里(長女)ー竹内結子さん
東芙美(次女)ー蒼井優さん
今村新(長女の息子)ー北村有起哉さん

が担当されています。

 

映画の予告を見る限り、決して派手な内容ではありませんでした。

ありふれた日常を大切に切り取って、一瞬一瞬を丁寧に演じる俳優(女優)さんに私はぐっと惹かれました。

「長いお別れ」中島京子著のあらすじは?(ネタバレあり)

「長いお別れ」中島京子著のあらすじをご紹介しますね。

小説と映画化では登場人物が異なるので、小説のあらすじをご紹介します。

 

==ここからあらすじ==

 

同窓会に出かけたはずの昇平(夫)が、会場に辿り着けずに戻ってきました。

そんなことから静かに始まった、昇平の認知症の日々。

認知症の昇平と夫婦、そして家族のお別れまでの長い日々が描かれています。

 

校長も務めるほどの厳格な昇平が、少しずつ記憶や家族を忘れていきます。

そんな昇平の認知症と向き合いながら、妻、三姉妹、三姉妹の家族ひとりひとりが自分の人生を向き合っていきます。

 

==ここまであらすじ==

 

認知症、老老介護、QOL(人生の質)、死など、避けては通れない人生の課題を小説から何度も問われます。

重いテーマの小説ですが、中島京子さんのユーモアが随所にあふれているので、何度もクスリと笑えてしまいました。

「長いお別れ」中島京子著の感想(ネタバレあり)小説のラストシーン

「長いお別れ」(中島京子著)の映画化をきっかけに小説を読みました。

それなりのボリュームがある小説ですが、2日?3日?くらいで読みきりました。

感想を一言でいうなら…

読み終わって時間が経つほど、
後から染み渡ってくる愛おしさ

というかんじです。

 

特に、私の胸に響いたのは、小説のラストシーンでの一文です。

小説のラストシーンでは、アメリカに住む長女の息子タカシと校長先生との会話だけが描かれています。

サボっていたことが理由で校長先生と話すことになったタカシの会話で、昇平が亡くなったこと、認知症が10年間に及んだことを私たち読者は知ります。

 

ーそうか。おいくつだったね。

八十とか、そのくらい

ーそうか。僕の父といくらも違わない。どうか、心からのお悔やみを受け入れてほしい。ご病気だったの?苦しんだんだろうか。

ずっと病気でした。ええと、いろんなことを忘れる病気で

ー認知症か

なに?

ー認知症というのだ。僕の祖母も最後はそうだった

十年前に、友達の集まりに行こうとして場所がわからなくなったのが最初だって、おばあちゃんはよく言っています

ー十年か。長いね。長いお別れ(ロンググッパイ)だね

なに?

ー『長いお別れ』と呼ぶんだよ。その病気をね。少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから

でも、お母さんは、とても突然だったって。いっしょにお正月を迎えると思ってたって

 

校長先生の
「『長いお別れ』と呼ぶんだよ。」
に対して
「お母さんは、とても突然だったって。」
と答えたシーン。

このやり取りが、私の頭から離れません。

 

私にも長い闘病生活の末に旅立った大切な人がいます。

死を覚悟しなくちゃいけない状況
死を強く意識しなくちゃいけない環境
にいる人を、

周りの人は死への準備ができていると
感じるのかもしれません。

 

小説でいえば、10年の歳月の中で記憶を失っていく昇平と向き合うことで、別れの準備を家族がしているのだと見えるのかもしれません。

でも、それは違います。

大切な人の死を覚悟できる人なんていないのではないかと思います。

 

死を覚悟しなくちゃいけない状況でも、その日が今日くると考えている家族はいませんし、死を強く意識しなくちゃいけない環境でも、本人も家族も精一杯に今を生きています。

いつ、どんな時でも、どんな状況でも生きることをしか考えていないのです。

だから、どんなに長い介護生活(闘病生活)を過ごしていたとしても、家族にとって身近な人の死は突然なんです。

 

・・・自分自身の思いと重なり、ラストシーンの一文を思い出しては、何度も涙しています。

本日ご紹介した「長いお別れ」のご紹介

映画の予告や私の感想を読んで気になっていただけたら、ぜひ小説で読んでいただきたい本です。

中島京子さんの絶妙な表現の仕方や小説だからこそクスリと笑えるユーモアに触れてくださいね♪

「長いお別れ」中島京子/著

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くるみ
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