美大出身でも、美術を専門的に学んだこともないのに、プロとして絵やデザインに関わる仕事をしている私が、お子さんがお絵かき上手になるような、お母さんの接し方のコツをご紹介します。
この記事の内容
子どもをお絵かき上手にするためのコツ
子どもをお絵かき上手にするためのコツとして、今回ご紹介するのは、子どもに本物の絵画を見せる「本物体験」です。
本物の絵画を見ると、印刷物を見ただけでは感じられない本物のエネルギーを感じることができます。
私自身も、本物の絵画のエネルギーに感動した経験があります。
これまで何度も繰り返し美術の教科書で見ていた絵画だったにもかかわらず、ルーブル美術館で「本物」を目の前にした時、その力強いエネルギーに圧倒され、体が動かなくなり、感動で涙がポロポロと溢れました。
あなたも、本物だからこそエネルギーを感じた経験があるのではないでしょうか?
好きなアーティストのライブで本物の歌を聞いて感動したり、コンサートで本物のオーケストラを聞いて感動したり、芸能人を見かけて本物のオーラに驚いたり・・・。
この本物のエネルギーを感じるということは、子どもの感じる力を育んでくれます。
さらに、筆のタッチや絵の具の香り、色彩など、本物の絵画を目の前にするからこそ感じることのできることもあります。
筆の動きや絵の具の凹凸、独特な香りや色の深みは、本物の絵画を見てこそ伝わってくるものです。
本物の絵画は、子どもの五感を刺激してくれるんです。
子どものお絵かきと本物体験のポイント
お子さんに本物の絵画を見せる時に、お母さんにしていただきたいポイントは1つです。
それは、本物を体験させることそのものを大切にしていただきたいということです。
「せっかく本物を見せるのだから、きちんと絵を理解させよう!」と考えると、途端に美術館へ行くことが窮屈になってしまいませんか?
お母さんが美術館へ行くことを窮屈に感じてしまっては、お子さんも敏感にその気持ちを察します。
お子さんに「絵ってなんだかつまらないなぁ」「絵はむずかしいなぁ」と感じさせてしまってはもったいないですよね。
まずは、「本物の絵画に触れること」を1番の目的にしてみてください。
「絵の意味は分からなくていいのよ。お母さんはね、あなたに本物を見せてあげたいの。」という言葉は、子どもの頃から私の母の口癖です。
母のこの口癖は、私の絵画を見ることに対する敷居を下げてくれました。
学生時代から1人で本物の絵を見に行って感性を育んだり、本物の絵から学びを得たりしているのは、母の「絵の意味よりも、まずは本物の絵を見ることが大切」という考え方が根付いているからだと思います。
(ルーベンスの絵画を独り占めしている私。説明文を読んでいます。)
なお、2006年11月に(株)第一生命経済研究所が、首都圏在住の小中学生の親に行った 『美術館・博物館の利用に関するアンケート調査』によると、「自分が子ども時代に親と一緒に美術館・博物館に足を運んだことのある人 の方が、親になってから子どもと一緒に美術館・博物館に行くことが多い」ということが分かりました(引用:http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news0611.pdf)。
子ども時代の経験が、大人になってから美術館へ行くことに影響を及ぼしていることのあらわれですね。
本物を見せるのにオススメ!エリック・カール展
最近では、美術館側も子どもたちが本物の絵画を見る機会を増やそうと努めています。
2015年に開催された「ルーブル美術展」では、名探偵コナンが絵画の解説をしているガイドブックや音声ガイドがありました。
2016年に開催された「大エルミタージュ美術館展」では、チェブラーシカが絵画の解説をしているガイドブックや音声ガイドがありました。
しかし、本物の絵画を子どもに見せたい!と思っても、周りの人に迷惑をかけるのでは?という心配から、なかなかお子さんを美術館へ連れていく勇気が持てない気持ちもあるのではないでしょうか?
美術館側がお子さんを受け入れてくれても、美術館に来ている他の大人たちのお子さんへの理解がなければ、お子さんを連れていくことは難しいですよね。
そこで、私がオススメしたいのが、「エリック・カール展」です。
エリック・カール展って?
エリック・カールさんはご存知ですか?
お名前を聞いてもピンとこないかもしれませんね。
(出典:http://fashionmarketingjournal.com/2017/04/eric-carle.html)
でも、彼の代表作「はらぺこあおむし」を見たら「あ!知ってる!」ってなるかもですね。
エリック・カールさんは、ベストセラー絵本「はらぺこあおむし」で人気のアメリカの絵本作家です。
作品は、「コラージュ(貼り絵)」という方法を使って描いています。
紙に絵の具でいろいろな色をぬり、カラフルな紙を作ります。作ったカラフルな紙を切り抜いて、ボードに貼って絵を描いていきます。
「エリック・カール展」で展示されている絵画は、「絵本」という子どもも興味を持ちやすい絵であり、カラフルな絵画の世界は、子どもたちの感性を刺激してくれます。
さらに、太い筆でぬったり、細い筆をつかったり、まっすぐな線をひいたり、波みたいにうねらせたり、指で描いたり、カーペットの切れはしやスポンジ、麻布なんかをスタンプのようにおしたりと、たくさんの技法を用いられて描かれた貼り絵は、多くの質感を感じることができます。
私が「エリック・カール展」を見に行ったのは平日でしたが、お子さん連れのお母さんやお父さんの姿が多く見受けられました。
0歳の赤ちゃんから、ヨチヨチ歩きの2歳くらいお子さん、幼稚園帰りのお子さん、小学生といろいろな年齢のお子さんがいました。
絵本の世界ということもあり、周りの人は、お子さんが絵を見に来ていることを受け入れている大人たちばかりです。
赤ちゃんが泣いてしまっても、小さなお子さんがぎゃ〜ってなってしまっても、他の大人たちも「うふふ」と微笑んでいました。
「エリック・カール展」オススメのまとめ
「エリック・カール展」のオススメの理由をまとめますね。
1.子どもたちも好きな絵がいっぱいで興味を示してくれること。
2.カラフルな絵画の数々が、子どもたちの感性を刺激してくれること。
3.貼り絵でできているので、子どもたちが多くの質感に触れることができること。
4.子どもが美術館に見に来ていることを受け入れてくれる大人が多いこと。
(出典:http://fashionmarketingjournal.com/2017/04/eric-carle.html)
エリック・カール展に持っていく物
エリック・カール展の絵画は「撮影禁止」となっていますが、最後の最後に「撮影コーナー」が用意されています。
そこでは、子どもも大人も、エリック・カールの描いた綺麗なちょうちょに変身して撮影できます。
ぜひ、携帯電話orカメラは預け入れロッカーに入れずに持って行ってくださいね!
美術館閉館時間に近かったこともあって人がいなかったので、旦那さんと2人でたくさん撮り合いっこしちゃいました。
ぜひ、行った祭には楽しんでくださいね!
エリック・カール展について
「エリック・カール展」では「はらぺこあおむし」「くまさん くまさん なに みてるの?」といった、子どものための絵本の原画や、アイディアのネタともいえるダミーブック、アートワーク作品など、約160点の作品が展示されています。
「エリック・カール展 The Art of Eric Carle」
会期:2017年4月22日(土)〜7月2日(日)
会場:世田谷美術館(世田谷区砧公園)
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
おわりに
いかがでしたか?
子どものうちから、本物の絵画に触れる機会を増やしてあげたいのに、なかなか日本の美術館だと難しいのが現実ですよね。
「エリック・カール展」のような、子どもも本物を見れる美術館がもっともっと増えるといいなと思います。
そのためには、美術館に来ている大人たちの理解が必要なのかもしれませんね。
美術館内での子どもたちへの理解がもっと広まりますように!!