清水邦夫さんの戯曲の名作「楽屋」の舞台を観に行きました

私の彼が師事している、インプロジャパンの講師 池上奈生美(いけがみなおみ)さんが、清水邦夫(しみずくにお)さんの名作「楽屋」を公演されるとのことだったので、2人で観に行きました。

演劇に明るくない私。

何の予備知識もないまま、舞台を拝見しました。

にもかかわらず、「楽屋」の世界観にどっぷりとハマってしまいました。



 

劇作家・演出家・小説家の清水邦夫(しみずくにお)とは

清水邦夫(しみずくにお)さんは、劇作家・演出家・小説家として活躍されていた方です。


右上のメガネをかけている方が清水邦夫さんです。

山崎努(やまざきつとむ)さんや松本典子(まつもとのりこ)さんと劇団「木冬社(もくとうしゃ)」を結成されたり、演出家の蜷川幸雄(にながわゆきお)さんとコンビを組んで、清新な作品を次々と送り出されたりされた方です。

錚々(そうそう)たる皆さんですよね。

「楽屋」は累計上演回数が日本一の名作

清水邦夫さんの、数々の劇作の中でも、特に有名な作品が「楽屋」なのだそうです。

「楽屋」の正式なタイトルは「楽屋ー流れ去るものやがてなつかしきー

1997年に発表された「楽屋」ですが、累計上演回数が日本一なんだそうです。

Σ(ОД○*)すごいっ

「楽屋」は、小泉今日子さん、蒼井優さん、村岡希美さん、渡辺えりさんが演じられていたり、劇団ひまわりさんも、上演されたりしています。

「楽屋」は、清水邦夫さんの初期傑作三篇の1つとして、「清水邦夫〈1〉署名人/ぼくらは生れ変わった木の葉のように/楽屋」 (ハヤカワ演劇文庫) におさめられています。

初期傑作三篇というのは

  • デビュー作「署名人」
  • 俵万智さんも学生時代に演じたという「ぼくらは生れ変わった木の葉のように」
  • 「楽屋ー流れ去るものやがてなつかしきー」

です。

舞台「楽屋」の過去の上演まとめ

舞台「楽屋」をこれまでに誰が演じてきたのか気になったので、全てとはいきませんが、まとめてみました。

■日程:2009年5月
会場:シアタートラム
演出:生瀬勝久
出演女優:小泉今日子・蒼井優・村岡希美・渡辺えり

■日程:2010年9月
会場:シアター代官山
演出:山下晃彦
出演女優:日向薫・松村郁・関口雅子・望月寛子・嶋尚美・西村有加・石川由依・原章子・田上真里奈

■日程:2014年3月
会場:「劇」小劇場
演出:日澤雄介
出演女優:伊東知香(ピープルシアター)・井上みなみ(青年団)・川田希・松本紀保
備考:若手演出家コンクール2012最優秀賞受賞記念公演

■日程:2021年10月
会場:赤坂RED/THEATER
演出:大河内直子(蜷川幸雄氏の演出助手として多くの作品を世に出している)
出演女優:保坂知寿(元劇団四季)・大空ゆうひ(元宝塚歌劇団宙組男役トップスター)・笠松はる(元劇団四季)・磯田美絵(文学座研究所所属)

なぜ、「楽屋」がそんなにも人気が高く、数多く上演されるのでしょうか?

舞台町初心者のわたしですが、わたしなりに考察してみました^^

「楽屋」は、善悪を超えて、時代を超えて、生死を超えて、それぞれの女優の思いが交錯する作品です。

女優としてのあり方、生き方、性(さが)、情熱、情念が詰まったこの作品を、「女優」だったら、1度は演じてみたいのではないかなと感じました。

 

清水邦夫の戯曲の名作「楽屋」のあらすじ

清水邦夫さんの戯曲の名作「楽屋ー流れ去るものやがてなつかしきー」のあらすじを簡単にご紹介します。

◯「戯曲」とは演劇の台本や、その形式で書かれている作品を指します

舞台は、チェーホフの「かもめ」を上演している劇場の楽屋。

登場人物は4人の女優です。

女優Aと女優Bが楽屋で念入りに化粧をしながら、出番に備えています。

女優Aは、舞台に思いを残したまま空襲に散った戦前の女優の亡霊で、顔の左半面に火傷の痕が。

女優Bは、舞台の思いを残しつつも男性のために自ら命を絶った戦後の女優で、首に巻いた包帯に血がにじんでいます。

女優Aと女優Bの2人の女優という仕事への想いは深いですが、生前は、演技中の女優に陰からセリフを教えるプロンプターという女優を支える黒子のような立場でした。

つまり、女優としての役を掴めなかったふたり。

2人の女優はすでにこの世をさっており、亡霊として楽屋に居座り、永遠にやってこない「出番」の「準備」をしているのです。当人たちはその自覚がないままに。。。

女優Aも女優Bも、セリフは全て頭の中に入っています。

もちろん、舞台の上で自分自身が演じたのではなく、舞台の陰から舞台上の女優のために伝えたセリフですが…。

お互い少しだけ出演した場面を演じてみせます。

この楽屋の主は、ベテラン女優Cです。

上演中のチェーホフの「かもめ」の主役であるニーナ役を務めています。

女優Cが楽屋に戻って来ると、プロンプターを務めていた若手女優Dがパジャマ姿でマクラを抱えて現れます。

現在を生きる女優Cと女優Dには、亡霊である女優Aと女優Bの姿は見えません。

女優Dは精神を病んでいたため入院していましたが、回復したから主役を返してほしいと女優Cに詰め寄ります。

言い争いになり、ついには、女優Cが女優Dの頭を瓶で殴ってしまい、打ち所が悪かった女優Dは命を落とします。

そして、命を落とし、亡霊となった女優Dもまた女優Aと女優Bとともに、何かの拍子にやってくるかもしれない出番のために楽屋で準備をはじめるのです。

 

女優たちが発するセリフの随所に、「かもめ」「三人姉妹」「マクベス」などの古典戯曲の名セリフが散りばめられています。

「楽屋」をより一層楽しみたい場合は、このあたりの古典戯曲を読んでから観劇されることをおすすめします。

(もちろん読まなくても楽しめます♪)

「楽屋」の舞台となっている「かもめ」

戯曲「楽屋」の舞台となっているのは、チェーホフの「かもめ」を上演している劇場の楽屋です。

「かもめ」は、ロシアの劇作家チェーホフの名作で、演劇史に燦然と輝く作品として有名です。

「かもめ」は、リアルな情景を描きながら、詩的なリズムと美しいセリフが魅力的な作品です。

「かもめ」あらすじ:作家志望のトレープレフと女優を志すニーナ。美しい湖を背景にさまざまな恋が織りなす人生模様。やがて恋人たちの道はすれ違い、新進作家となったトレープレフの前に現れたニーナは謎めいた言葉を洩らす――「私はかもめ」。それぞれが心に秘める「かもめ」は飛翔できるのか? 演劇史に燦然と輝く名作を清新な訳で。

 

清水邦夫の戯曲の名作「楽屋」舞台の感想

私が拝見した舞台の「楽屋」はこちらです。

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冒頭でもお伝えしましたが、私の彼が師事している、インプロジャパンの講師 池上奈生美(いけがみなおみ)さんが、「楽屋」を公演されるとのことだったので、2人で観に行きました。

インプロジャパンの講師 池上奈生美さん

私に、清水邦夫さんの「楽屋」と出逢わせて下さった方で、「楽屋」の女優Aを演じられた、池上奈生美(奥山奈緒美)さんは、インプロジャパンの代表 兼 講師をされています。

インプロ(即興劇)の本場、北米でのステージに数多く出演され、受賞歴も多数。

『インプロ・シンキング』(ダイヤモンド社)などの執筆や、全国でのワークショップ監修、指導、公演のプロデユース、出演、また、NHK教育テレビ「シャキーン!」でのインプロ指導など、インプロを軸に多方面で活躍されています。

私が奈生美さんを知ったのは、私の彼がインプロジャパンのクラスを受講していて、そのクラスの公演会でお会いしたことがきっかけです。

1言、2言くらいしかお話ししたことはないのですが、私が勝手に親しみを感じている方です。

 

私は、「楽屋」の舞台を見たのも、「楽屋」という作品を知ったのも、今回の奈生美さんの舞台が初めてでした。

 

古典戯曲の名セリフが数多く散りばめられていても、そもそも、その古典戯曲を知らない。

プロンプターという言葉を知らない。

そんな、超無知な状態で見た舞台でした。

 

ところが、、、

観劇中はボロボロ泣いて、

舞台後に挨拶に伺った時も、おいおい泣いて、

舞台の帰り道もシクシク泣いて・・・と、「楽屋」の世界観から戻ってこれなかったくらい引き込まれました。

 

女優A(=奈生美さん)の感情が、私の奥深くまで入り込んでしまって、なかなか抜けなかったんですよね。

舞台を観終わってから1週間以上も感情を引きずりましたもん。

 

女優Aの演技が、演技ではなく、本物なんです。

 

女優Aの悲しみや、苦しさや、情念や、無念さや、やり場のなさや、惨めさや、いきどおりや、辛さや、せつなさや・・・そういう感情が、作られたものではなかった。

女優Aを演じる女優の、身体の奥底から生まれている、本物の感情なんです。

 

それらの深い感情は、演者が外に出さずとも、身体の奥底からにじみ出て、空間全体を覆います。

そして、空間を通して観客である私の中にその感情が自然と伝わり、女優Aと同じ熱量・同じ深さ・同じ大きさ・同じ重さで私も感情を感じるのです。

 

女優Aの感情が、頭じゃなくて、感情にダイレクトに響く。

そんな感覚でした。

 

見ている観客の感情をも支配してしまうほどのチカラ。

こんな体験は、生まれて初めてでした。

 

くるみ
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