清水邦夫さんの戯曲の名作「楽屋」の舞台を観に行きました

私の彼が師事している、インプロジャパンの講師 池上奈生美(いけがみなおみ)さんが、清水邦夫(しみずくにお)さんの名作「楽屋」を公演されるとのことだったので、2人で観に行きました。

 

Cj9Yoj4VEAAU3Ve(出典:@naomiikegami)

 

演劇に明るくない私。
何の予備知識もないまま、舞台を拝見しました。

 

にもかかわらず、その世界観にどっぷりとハマってしまいました。

 

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清水邦夫(しみずくにお)さんとは

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清水邦夫(しみずくにお)さんは、劇作家・演出家・小説家として活躍されています。

 

松本典子(まつもとのりこ)さんや山崎努(やまざきつとむ)さんと劇団「木冬社(もくとうしゃ)」を結成されたり、
演出家の蜷川幸雄(にながわゆきお)さんとコンビを組んで、清新な作品を次々と送り出されたりしています。

 

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錚々(そうそう)たる皆さんですよね。

 

「楽屋」は累計上演回数が日本一の名作

清水邦夫さんの、数々の劇作の中でも、特に有名な作品が「楽屋」です。

 

「楽屋」の正式なタイトルは、「楽屋ー流れ去るものやがてなつかしきー」。

 

1997年に発表された「楽屋」ですが、累計上演回数が日本一なんだそうです。

 

小泉今日子さん、蒼井優さん、村岡希美さん、渡辺えりさんが演じられていたり、

 

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(出典:https://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/05/post_154.html)

 

劇団ひまわりさんも、上演されたりしています。

 

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(出典:http://www.himawari.net/theater_movie/theater/001343.html)

 

なぜ、「楽屋」がそんなにも人気が高く、数多く上演されるのでしょうか?

 
「楽屋」は、善悪を超えて、時代を超えて、生死を超えて、それぞれの女優の思いが交錯する作品です。

 

女優としてのあり方、生き方、性(さが)、情熱、情念が詰まったこの作品を、
「女優」だったら、1度は演じてみたいのではないでしょうか。

 

清水邦夫さんの戯曲の名作「楽屋」のあらすじ

「楽屋ー流れ去るものやがてなつかしきー」のあらすじを簡単にご紹介します。

 

*****

 

舞台は、チェーホフの「かもめ」を上演している劇場の楽屋。

登場人物は4人の女優。

 

女優Aと女優Bが楽屋で念入りに化粧をしながら、出番に備えています。

 

舞台に思いを残したまま空襲に散った戦前の女優の亡霊(女優A)は、顔の左半面に火傷の痕が。

舞台の思いを残しつつも男性のために自ら命を絶った戦後の女優の亡霊(女優B)は、首に巻いた包帯に血がにじんでいます。

 

女優Aと女優Bは、永遠にやってこない「出番」の「準備」をしているのです。

 

2人の演じたかった役への思いは深いですが、生前は、演技中の女優に陰からセリフを教えるプロンプターという役回りでした。

 

舞台の上ではなく、舞台の陰から、何十回と呟いたセリフは全て頭の中に入っています。

お互い少しだけ出演した場面を演じてみせます。

 

楽屋の主は、女優C。

 

上演中のチェーホフの「かもめ」の主役、ニーナ役を務める女優Cが楽屋に戻って来ると、プロンプターを務めていた女優Dがパジャマ姿でマクラを抱えて現れます。

もちろん、女優Cにも、女優Dにも、亡霊である2人の女優の姿は見えません。

 

女優Dは精神を病み入院していましたが、よくなったから主役を返してほしいと女優Cに詰め寄ります。

 

言い争いになり、ついには、女優Cが女優Dの頭を瓶で殴ってしまいます。

打ち所が悪く、女優Dは死んでしまいます。

 

亡霊となった女優Dもまた、楽屋で、女優Aと女優Bとともに、何かの拍子にやってくるかもしれない出番のために準備をはじめるのです。

 

*****

 

女優たちが発するセリフの随所に、古典戯曲「かもめ」「三人姉妹」「マクベス」等の名セリフが散りばめられており、
リアルな情景を描きながらも詩的なリズムと美しいセリフが魅力的です。

 

「楽屋」は、デビュー作「署名人」、俵万智さんも学生時代に演じたという「ぼくらは生れ変わった木の葉のように」とともに、鮮烈な言葉で紡ぐ清水邦夫さんの初期傑作三篇の1つとして、「清水邦夫〈1〉署名人/ぼくらは生れ変わった木の葉のように/楽屋」 (ハヤカワ演劇文庫) におさめられています。

 


 
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清水邦夫さんの戯曲の名作「楽屋」の舞台の感想

私が拝見した舞台の「楽屋」はこちらです。

 

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インプロジャパンの講師 池上奈生美(いけがみなおみ)さんとは

私に、清水邦夫さんの「楽屋」と出逢わせて下さった方で、
「楽屋」の女優Aを演じられた、池上奈生美(奥山奈緒美)さんは、インプロジャパンの代表 兼 講師をされています。

 

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インプロ(即興劇)の本場、北米でのステージに数多く出演され、受賞歴も多数。

 

『インプロ・シンキング』(ダイヤモンド社)などの執筆や、全国でのワークショップ監修、指導、公演のプロデユース、出演、また、NHK教育テレビ「シャキーン!」でのインプロ指導など、インプロを軸に多方面で活躍されています。

 

私が奈生美さんを知ったのは、私の彼がインプロジャパンのクラスを受講していて、そのクラスの公演会でお会いしたことがきっかけです。

 

1言、2言くらいしかお話ししたことはないのですが、私が勝手に親しみを感じている方です。

 

「楽屋」の舞台の感想

私は、「楽屋」の舞台を見たのも、「楽屋」という作品を知ったのも、今回の奈生美さんの舞台が初めてでした。

 

古典戯曲の名セリフが数多く散りばめられていても、そもそも、その古典戯曲を知らない。

プロンプターという言葉を知らない。

 

そんな、超無知な状態で拝見した舞台でしたが、
舞台の間はボロボロ泣いて、
舞台が終わって奈生美さんにお花を渡しながらも、おいおい泣いて、
舞台の帰り道もシクシク泣いて・・・と、
その世界観から戻ってこれなかったくらい引き込まれました。

 

女優A=奈生美さんの感情が、私の奥深くまで入り込んでしまって、なかなか抜けなかったんです。

舞台を観終わってから1週間以上も感情を引きずりましたもん。

 

奈緒美さんの演技は、演技ではなく、本物なんです。

 

女優Aの悲しみや、苦しさや、情念や、無念さや、やり場のなさや、惨めさや、いきどおりや、辛さや、せつなさや・・・
そういう感情が、作られたものではなくて、身体の奥底から生まれている、本物の感情なんです。

 

それらの深い感情は、彼女が外に出さずとも、身体の奥底からにじみ出て、空間全体を覆います。

そして、空間を通して観客である私の中にその感情が自然と伝わり、女優Aと同じ熱量・同じ深さ・同じ大きさ・同じ重さで私も感情を感じるのです。

 

女優Aの感情を、頭じゃなくて、感情で理解している。

そんな感覚でした。

 

見ている観客の感情をも支配してしまうほどのチカラ。

こんな体験は、生まれて初めてです。

 

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