『昼田とハッコウ』山崎ナオコーラの付箋ページ

本を読んでいて、私が付箋をつけたページをご紹介しています。 

付箋のページ-01 

本日の1冊:『昼田とハッコウ』 著者・山崎ナオコーラ

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内容:若者に人気の町・幸福寺にある本屋さん「アロワナ書店」が舞台。地域密着型の書店で、3代目のハッコウは名ばかりの店長。ハッコウのいとこの昼田は、六本木ヒルズのIT企業に勤めていた。店内でぶらぶらするだけのハッコウと、店から距離をおいて会社勤めをする昼田だったが、書店の危機に際し、2人でゆっくり立ち上がる。
 

『昼田とハッコウ』の付箋ページ

 
本を読んで自分の考え事が枠に収まっちゃうのが嫌なんだよ


言葉になる前の世界に、暴力的に枠組を与えるのが、小説なのかもしれない

オレはその暴力が好きなのだ。世界に暴力をふるいたい。言葉以前の世界はもやもやしている。はみ出しそうなものを無理やりぎゅうぎゅうに器に収めてやる、あるいは、世界を切り取って、残りは屑(くず)に。
曖昧なものに名前を付けてしまう強大な力、微妙な力加減でそのパワーを操る人々。そのふざけ具合と、切なさが。


愛国心を持ちたいのなら、自分の国のことを、他に比べることなく、ただ愛すれば良いのではないか。
他の国からどう思われているか、他の国と比べてどうか、そんなことは重要ではない。自分が、純粋に愛していればいい。
たとえば、愛する子どもを、より深く愛したいと考えたとき、「他の子より優秀です」と声高に言うことが、愛の表現になるのだろうか。
しかし、愛を表現するとき、人間はつい、「誰よりも」と言ってしまうもののようだ。


近くにいるから、『あいつと比べて自分は……』ってしょげちゃったり、似ているから『あいつの真似したら自分もできるかも!』って憧憬を抱いたりね。


親日的、という言葉を若者は使いたがるが、先に相手から愛されないと、こちらは愛せない、と考えるのもどうなのだろう


平安時代の書物に花とあればそれは桜のことを示すのだ、と学校で習った。そのくらい、日本文化には桜が食い込んでいる。
だが昔の桜は、山桜という、もっとポイントっぽく咲くタイプだったらしい。今の桜は、境界線がないかのように咲くソメイヨシノが主流である。
ただ、平安文学を読んだとき、現代の、品種改良された、人工的なはずのソメイヨシノの風情が、あまりにもそのまま当て嵌まるものだから、驚く。
空気か花かわからない存在。ピンクと表現するのがはばかられるくらい、白に近い光。満開の時期が2、3日しかないという儚さ。


批評というのは、宗教に似ているかもしれない。世界の見方を提示する。


オノマトペ・・・オノマトペとは説明した「擬音語」と「擬態語」を包括的に指した言葉。日本語では擬音語と擬態語を合わせて「擬声語」と呼ぶことがありこれがオノマトペにあたる。特に日本語はオノマトペの種類が多く、その重要性は高い。オノマトペ(onomatopee)はフランス語。


最近の若い人は、親知らずが生えないっていうしね

人類は、あまり噛まなくなって、歯の数が減っていくんだって。尖ったところがなくなるんだね。それで、最近の若い人は、顎が弱くなって、ほっそりしてきたんだって。顔がしゅっとしてて、かっこいい人が多いでしょ?

最終的には、口もなくなるのかもよ

そうかも。オレは会社にいたとき、隣の席の人とだって、メッセンジャーで喋ってたもん。指さえあれば、口がなくてもコミュニケーションが取れるから
社内メールも便利だったから、歩いていって話しかけるのも滅多にしていなかった。指さえあれば、足がなくても会いにいけるから

人間の最終形態って、ただの指なんじゃね?

目と指だけになるかも
 

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情報誌はインターネットへ移行していくと言われて久しいが「漠然と『何も決めていないけれど、そもそも情報を知らないから、まずは何かを始めなきゃ』と思っている」という人にとっては、情報を物体として手に入れることの方が大事だ。


お客さんが書店で味わいたいのは、居心地の良さと、自分の意思と関係なく入ってくる情報


ネットショッピングって、『欲しい』って思っているものしか買えない
だけど、大抵の人は気がついているんです
自分の本当に欲しいもののことを自分が実はわかっていない、ってことを。
自分の欲求を、実は他人の方が知っているんじゃないか、って。


実は多くのお客さんが、自分の欲求に無自覚なのだ。
どこに置くか、どういう置き方をするか、POPやポスターをどう使うか、工夫を凝らし、お客さんの内なる欲望に気づいていただき、自分が本当に欲する書籍は何かを自覚してもらう


ネット書店では楽しめない、リアル書店だからこそできることに、「おまけの紙を作る」というのがある。
ブックカバーや栞といった付属品を、その店独自のものにすれば、お客さんは喜んでくれる。
本好きの人は大概、紙フェチでもある


みんなを納得させるために、そこに繋がる物語を紡がないといけないと思っていたんだ


周囲の目と心地よい雑音があるカフェで、集中して読書に勤しむ


本を読んだときに、「読まなければ良かった」と思ったことがない。もちろん、感じ方はばらばらだ。胸にぐっときてしばらく本の世界から抜け出られない、さらっとしていたが良い読書時間を過ごせた、納得できないし自分とは違う考えで書かれていたが新しい価値観を知れたので読めて良かった、様々な感情を抱く。
だが総じて、読まない方が良かった、とは思わず、読書時間は無駄ではなかった、と読後に必ずしみじみする。
 

『昼田とハッコウ』の魅力

本の舞台「アロワナ書店」の店名の由来は、飼っているアロワナです。
そのアロワナが、買った時についてくるしおりや、本自体にもプリントされててかわいいんです。

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アロワナ書店って実在する本屋さんの話なのかな?って現実と物語との境目が分からなくなっちゃったくらいです。
 

おわりに

私が山崎ナオコーラさんの作品を好きになったきっかけは、ご本人に興味を持ったことでした。
西加奈子(にしかなこ)さんの作品が大好きで、2014年に行われた西加奈子さん、山崎ナオコーラさん、小林エリカさんの3人によるトークショーに伺いました。
このトークショーでお会いしたことをきっかけに、山崎ナオコーラさんの作品も読むようになりました。

出てくる表現や、言葉が絶妙で、小説世界に没頭しつつも、山崎ナオコーラさんの紡ぎ出す言葉に、「くぅぅぅぅ!(素敵!こんな表現ができるなんて羨ましい!)」と、毎回うなっています。
 

■ 本日の1冊:『昼田とハッコウ』 著者・山崎ナオコーラ

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